木造の窓口

戸建投資にかかる税金と経費の基礎知識

木造の窓口編集部 / 最終更新: 2026年9月23日 / 監修:沼崎弘(宅地建物取引士)

戸建投資では、物件の購入時・保有中・売却時のそれぞれの場面で税金が発生します。事前に全体像を把握しておくことで、収支計画の精度を高めることができます。

購入時にかかる税金

不動産取得税

土地・建物を取得した際に一度だけ課される都道府県税です。固定資産税評価額をもとに算出されます。

登録免許税

所有権移転登記や、融資を利用する場合の抵当権設定登記にかかる税金です。

印紙税

売買契約書に貼付する印紙代です。契約金額に応じて金額が定められています。

保有中にかかる税金

固定資産税・都市計画税

毎年1月1日時点の所有者に対して課される税金です。市街化区域内の物件では、固定資産税に加えて都市計画税もあわせて課税されます。

所得税・住民税

家賃収入から必要経費を差し引いた「不動産所得」に対して課税されます。給与所得など他の所得と合算して税額が計算される総合課税の対象です。

経費として計上できるもの

不動産所得の計算にあたっては、以下のような費用を経費として計上できます。

減価償却の考え方

建物部分の取得費用は、耐用年数に応じて毎年少しずつ経費として計上する「減価償却」という仕組みがあります。土地は減価償却の対象外である点に注意が必要です。

木造住宅の法定耐用年数は22年とされていますが、中古で取得した物件については、経過年数に応じた「簡便法」という計算方法で耐用年数を算出します。築年数が経過した戸建ほど、短期間で多くの減価償却費を計上できる可能性があり、これが戸建投資が節税目的でも注目される理由の一つになっています。ただし、耐用年数を超えて多くの減価償却を計上した後は、売却時に譲渡所得税の負担が大きくなる可能性がある点もあわせて理解しておく必要があります。

売却時にかかる税金

売却によって利益(譲渡所得)が生じた場合、譲渡所得税(所得税・住民税)が課されます。税率は物件の所有期間によって異なり、所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」の方が、5年以下の「短期譲渡所得」よりも税率が低く設定されています。

青色申告と法人化の検討

不動産所得の確定申告には、白色申告と青色申告の2つの方式があります。青色申告は、複式簿記での帳簿付けなど一定の要件を満たす必要がある一方、所得から一定額を控除できる青色申告特別控除など、税務上のメリットが用意されています。要件や控除額は制度改正により変わることがあるため、最新の内容は税務署や税理士に確認するのが確実です。また、保有する物件が増え、不動産所得の規模が大きくなってきた場合には、個人事業から法人化(資産管理法人の設立など)を検討する投資家もいます。法人化には、税率の違いや経費計上の範囲が広がるといったメリットがある一方、設立・維持のコストも発生するため、規模や将来の展開に応じて総合的に判断することが望ましいといえます。

消費税の考え方

不動産の売買では、建物部分には消費税が課税される一方、土地部分は非課税とされています。そのため、物件価格に含まれる消費税額から、建物と土地の価格の内訳を逆算できる場合があります。個人が居住用物件を売却する際は非課税となるケースが一般的ですが、事業者から購入する場合や、物件の性質によって扱いが異なることもあるため、契約書に記載された消費税額の内訳は確認しておくとよいでしょう。

確定申告のスケジュール

不動産所得がある場合、原則として毎年2月中旬から3月中旬にかけて確定申告を行う必要があります。申告にあたっては、家賃収入の入金記録、経費の領収書、減価償却費の計算資料などを1年分整理しておく必要があるため、年間を通じて収支を記録しておくことが望ましいといえます。青色申告を行う場合は、帳簿の作成や貸借対照表・損益計算書の添付が必要になるため、早めに会計ソフトや税理士への相談を検討しておくと、申告時期に慌てずに済みます。

損益通算という考え方

不動産所得が赤字になった場合、その赤字を給与所得など他の所得と相殺できる「損益通算」という仕組みがあります。特に減価償却費を大きく計上できる築古物件では、帳簿上の不動産所得が赤字になりやすく、結果として所得税・住民税の負担が軽減されるケースがあります。ただし、土地の取得にかかる借入金の利子など、一部は損益通算の対象外とされる項目もあり、制度の詳細は個別の状況によって扱いが異なります。節税効果を期待する場合も、具体的な試算は税理士に相談しながら進めることをおすすめします。

税理士に依頼するメリット

不動産所得の確定申告は自分で行うことも可能ですが、保有物件が増えたり、減価償却や損益通算など複雑な計算が必要になったりする場合は、税理士へ依頼することも選択肢になります。税理士に依頼することで、経費計上の漏れを防ぎやすくなるほか、申告作業にかかる時間を他の物件探しや管理業務に充てられるというメリットもあります。費用はかかりますが、規模が大きくなるほど、専門家に任せることで得られる正確性と時間的余裕の価値も大きくなっていきます。

取得費・譲渡費用の記録を残しておく重要性

将来物件を売却する際、譲渡所得の計算には「取得費」(購入時にかかった費用)と「譲渡費用」(売却時にかかった費用)を差し引くことができます。しかし、購入時の契約書や領収書を紛失してしまうと、取得費を証明できず、税負担が大きくなってしまうことがあります。購入時・保有中にかかった費用の書類は、売却まで(場合によっては売却後も一定期間)保管しておく習慣をつけておくことが、将来の税負担を適切に抑えることにつながります。

よくある質問

戸建投資にはどんな税金がかかりますか?
購入時に不動産取得税・登録免許税・印紙税、保有中に固定資産税・都市計画税・所得税、売却時に譲渡所得税がかかります。
減価償却とは何ですか?
建物の取得費用を、耐用年数に応じて毎年経費として計上できる仕組みです。土地は減価償却の対象外です。

まとめ

戸建投資の税金は、購入時・保有中・売却時でそれぞれ性質が異なり、特に減価償却の仕組みは収支や節税効果に大きく影響します。税金や経費の考え方は個別の状況によって扱いが変わるため、具体的な判断にあたっては税理士など専門家への相談をおすすめします。

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