全国的に空き家が増加する中、比較的安価な空き家を購入し、リノベーションして賃貸に出す「空き家再生」による戸建投資が注目されています。ここでは、空き家再生による戸建投資の基本的な流れと注意点を整理します。
賃貸需要が見込めるエリアかどうかを、周辺の賃貸相場や人口動態、最寄駅からの距離などから確認します。空き家は現況の状態にばらつきが大きいため、価格の安さだけで判断しないことが重要です。
雨漏りやシロアリ被害、基礎や柱の傾きなど、構造に関わる不具合がないかを確認します。可能であれば、リフォーム会社やホームインスペクター(住宅診断士)に同行してもらい、専門的な視点で確認してもらうと安心です。
内装のみの軽微なリフォームか、水回りの入れ替えを含む大規模なリノベーションかによって、費用は大きく変わります。複数のリフォーム会社から見積もりを取り、費用感を把握しておきましょう。
物件価格に加え、リノベーション費用、諸経費を含めた総投資額に対して、想定家賃でどの程度の利回りが確保できるかを試算します。想定より費用がかさむケースもあるため、ある程度の余裕を持った計画が望ましいといえます。
工事完了後、地域の賃貸需要に合わせた家賃設定で入居者を募集します。
壁や床を解体してみて初めて分かる不具合(構造の腐食など)もあり、当初の見積もりから費用が増えるケースは珍しくありません。
空き家の中には、接道義務を満たしていない再建築不可物件も一定数含まれます。リノベーションは可能でも建て替えはできないため、事前の確認が欠かせません。
リノベーション期間は収入のない期間となるため、その間の固定資産税やローン返済(融資を利用する場合)を見込んだ資金計画が必要です。
空き家の取得やリノベーションにあたっては、自治体が独自に設けている「空き家バンク」や、リフォーム費用の一部を補助する制度が活用できる場合があります。制度の有無や内容は自治体によって異なり、対象となる工事の種類や申請時期などの条件が細かく定められていることが一般的です。すべての空き家が対象になるとは限りませんが、購入を検討しているエリアの自治体窓口やウェブサイトで、利用できる制度がないか事前に確認しておくと、想定していた総投資額を抑えられる可能性があります。制度の申請には工事着工前の手続きが必要になるケースが多いため、リノベーション計画の早い段階で情報収集しておくとよいでしょう。
リノベーション費用を抑える方法として、内装の一部をDIYで行うオーナーも増えています。壁紙の張り替えや簡易的な塗装など、比較的難易度の低い作業であればDIYでも対応できる場合があります。一方で、電気・ガス・水道といった設備配管に関わる工事や、構造に関わる部分の工事は、資格を持った専門業者への依頼が必要です。DIYの範囲を広げすぎると、かえって施工不良によるトラブルや、賃貸物件としての安全性に関わる問題につながる可能性もあるため、どこまでを自分で行い、どこからプロに任せるかの線引きを事前に決めておくことが大切です。
リノベーションの成否は、依頼するリフォーム会社選びに大きく左右されます。複数の会社から見積もりを取り、金額だけでなく、賃貸物件のリノベーション実績があるかどうかも確認しておくとよいでしょう。居住用の住宅と賃貸用の物件では、求められる仕様(コストと耐久性のバランスなど)が異なるため、賃貸経営の視点を理解している会社の方が、実情に合った提案を受けやすい傾向があります。見積もり内容についても、工事範囲や使用する建材のグレードが明確に記載されているか確認し、不明点はその場で質問しておくことをおすすめします。
リノベーションは、内装や設備の見た目を整えるだけでなく、耐震性や断熱性といった住宅性能を高める機会にもなります。特に空き家の中には旧耐震基準の建物や、断熱性能が低い建物も多く含まれます。耐震補強や断熱改修は費用がかかる分、入居者にとっての安心感や快適性につながり、他の物件との差別化材料になることもあります。予算の制約もあるため全てに対応するのは難しい場合もありますが、性能向上リフォームを選択肢の一つとして検討しておくと、長期的な資産価値の維持にもつながります。
リノベーション工事では、解体や資材の搬入・搬出に伴う騒音や振動、工事車両の駐車などにより、近隣住民に影響が及ぶことがあります。工事着工前には、施工会社を通じて近隣への挨拶や工事内容の説明を行っておくと、トラブルの予防につながります。特に住宅密集地では、工事期間や作業時間帯についての配慮が、その後の入居者募集や地域との関係にも影響することがあるため、施工会社と事前にスケジュールや対応方針をすり合わせておくとよいでしょう。
中古住宅の購入・リノベーションにあたっては、構造上主要な部分や雨水の侵入を防ぐ部分について、一定期間の保証を受けられる「既存住宅売買瑕疵保険」という制度があります。加入には建物状況調査(インスペクション)が必要になるなど条件がありますが、購入後に想定外の不具合が見つかった場合の負担を軽減できる可能性があります。全ての物件で利用できるわけではありませんが、制度の対象になるかどうかを検討段階で確認しておくと、リスクへの備えの選択肢が広がります。
空き家再生による戸建投資は、少額から始めやすい一方で、リノベーション費用の見積もりや構造上のリスク確認など、通常の中古物件購入以上に事前準備が重要になります。信頼できるリフォーム会社と連携しながら、無理のない収支計画を立てることが成功の鍵になります。
← コラム一覧に戻る